近代化の陰で
「殖産興業」「富国強兵」というスローガンにあらわされているように、経済的に国を富ませることを通じて強い軍隊をつくり上げる必要がありました。
・・・こうしたことから、経済成長の成果は必ずしも国民生活に直結しなかったということになります。
経済力の発展に支えられて軍事力が強化された結果、明治維新以降、日本はいくつかの戦争に巻き込まれたのです。
日清戦争、日露戦争、第一次大戦など、相応のコストを払いながら、つねに"勝利者"の側に立つことができました。
しかしながら、一度戦争に勝つという経験ができると、戦争の惨禍や相手方に与えた苦痛も忘れがちになり、再び軍事力を強化するということをくり返すことになります。
そして、きわめて不幸にも軍事力を強化することが経済の活動と並行して進み・・・
あるいは、資源や市場を確保するために、むしろ経済全体が軍事力強化に奉仕するかたちをとったために、国の経済がだんだん正常な姿から逸脱しはじめました。
・・・・一方で国民生活を圧迫し続けると同時に、他方で統制経済的な色彩を強めることになり、経済の病弊をもたらすことになりました。
そして、その不幸な帰結が太平洋戦争の勃発とその敗戦という結末です。
日本人自身が大きい惨禍を戦争から受けました。