モモとジジ 5
人々はこの鏡を月とよんで無邪気に眺めていますが、この鏡によって影の存在を知らされた人間は、いつかは死ぬことになります。
ところがある日、鏡はとてもすてきな若い王子さまの影を持ってきます。
そこで現実にその王子さまに逢いたくなったモモ姫は、鏡に自分の姿をうつして、送りだします。
そのために永遠の生命を失ってしまうのですが、モモ姫はそれでも自分の愛を実現したいと思うのです。
つまり、永遠の少女である無意識の世界に住むモモ姫は、この王子のイメージに誘われて、有限の意識の世界にあらわれたいとのぞんだのです。
こうしてモモ姫は自分の国を捨て、王子を求めて探求の旅に出ます。
そしてとうとう靴はすりきれ、だぶだぶの上着とぼろをまとって《きょうの国》にやってきます。
一方、鏡が拾ってきた影の王子は、《あしたの国》のジラロモ王子と言いましたが、悪い妖精にだまされて、その妖精と結婚をする気になります。
妖精は空にただよう銀の鏡だけは決して見てはいけないと命令します。
そこで王子は美しいモモ姫の姿を見ることがなかったのですが、ある日、月のしずくのように空から水が落ちてきて、ふと見上げた鏡の中にモモ姫の姿を見てしまいます。